∈ @HOUSE! ∋
⇒@第四話
「ゲームって?何するの」
「お、良くぞ聞いてくれました!」
ザックスは嬉しそうにそう反応すると、実はちょっと考えがあってさ、と妙なことを提案し始める。その提案とは、ゲームといってもちょっと特殊なゲームだった。
「まず、このゲームは普通のゲームじゃない。良いか、こりゃ笑わせゲームだぜ」
ザックスのその不可思議な言葉にクラウドは首を傾げる。笑わせゲームとはなんぞだ?、そう思ったからだ。
そのクラウドの疑問に答えるかのようにザックスは意気揚揚と説明をし始める。
ザックスの説明は至って簡単で、ルールといえば誰かを笑わせればそれでOKというそれだけだった。要は何か一発芸でもやって、それで笑わせることができればそれで良いのである。
一体それのどこがゲームなんだ!という感じだが、ザックスの中ではそれもゲームであるらしい。
「よし!じゃあまずは俺から…」
ザックスはそう言うと早速というように態勢を整えた。人を笑わせるのに態勢を整えるその用意周到さたるや並ではない。勉強もそのいきでやれば良いのに、と思う。
そう思いながらザックスを眺めていたクラウドだったが、少ししてふとあることに気が付いた。というのも、ザックスの動きにはあるルールが含まれていたからである。
「あ…」
思わずそう声をもらしたクラウドに、笑わせ中のザックスが振り返ってにやりと笑う。
振り返るザックス。
クラウドを見るためにわざわざ振り返るという事はつまり、"笑わせ中にはクラウドの方を向いていない"という事である。要するにザックスはセフィロスに向けて笑わせる行為をしていたのだ。
だからそれは…。
「へへ」
クラウドは笑うと、ちっとも笑っていないセフィロスを見て自分も乗り出した。
身を乗り出してザックスと一緒に面白いことをしてみる。鉄火面並みのその顔の筋肉がどうにか緩むように、と。
翌日、クラウドはザックスに礼なぞを述べた。
それは勿論昨日の晩の事についてである。
セフィロスは結局笑わなかったけど…いや、クスッとくらいしたかもしれないけれど、とにかくそれは成功とまでいかなくて、だけれどクラウドはザックスのその気遣いが嬉しかったのだ。
何となく、嬉しかった。
だから礼を言ったのだが、ザックスはそれがやけに不思議であるように首を傾げたりする。
「別に、単に奴を笑わせてやりたかっただけだって。いつも仏頂面じゃ筋肉もイカれちまうだろ」
「そうだね」
なあんだ、そうか。
セフィロスに対して線を感じていたのは自分の方だったんだ、クラウドはそう思う。
線があるから、ありがとうだなんて思ったのだ。
それが少し恥ずかしくも思える。
不思議だけれどある意味無遠慮であるほうが線は無いのかもしれない、仮に出会って間もないとしても。そう、特にセフィロスみたいなタイプにはその方が良いのだろう。勿論、礼儀は大切だけれど。
「そう、今日は帰ったら部屋の掃除でもしようかと思ってるんだ。セフィロスも窮屈だと思うし」
「お、良いな」
話題を変えたクラウドは、次の授業までの僅かな時間をそんな話で費やした。
何となくザックスも一緒にどうかなと思ってそう切り出したのだが内容が掃除なだけに思い切り誘うのは躊躇われる。嫌らしいけど、じゃあ行くわ、というような一言を期待したりしていたのだ。
が。
「俺も参加したいけどなーすげえ残念!今日は用事あるしな」
「あっ、そうなんだ」
そうだよな、ザックスだって用事あるよな。
そう思ってクラウドは「残念だね」と心の底からそう言った。
何となく、昨日みたいのを期待していたけど、どうやらそれは無理らしかった。
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