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⇒@第四話


 この"ミスMIS"というのはいわゆる学内美少女コンテストである。
 どこにでも同じようなものがあるがこの学校にもやはりそういうのがあって、しかもレベルはかなり高いときているから近隣の学校からの注目度も高い。ここ数年はメディアでも取り上げられるようになったから、数年前のクイーンは医者志望だったのに芸能人になってしまったほどだ。
 要するにこれは単なるコンテストではなくなってきているのである。
 
「それよりザックスはキングを狙うんじゃなかったのか」
「ああ、キングな。そりゃもち!」
 
 女の子には女の子のコンテストがあるように、男の子には男の子のコンテストがある。それクラウドの言うキングというやつだ。
 女の子のコンテストが見目の可愛さで審査されるのと違って、このキングというやつは勲章で審査される。これが男の子に課せられた使命というやつだ。
 
 勲章というものの定義は様々で、例えば体力が並外れているとか頭脳が秀でているとかギネスに載るような芸が出来るとか何でも良い。とにかく抜きんでた熱意による結果が認められればそれが勲章である。
 
 ちなみに女の子のコンテストと違ってこちらには華々しい未来などは約束されていない、まあある意味ではそれこそ勲章をえられるというそれだけなのである。
 そんなだから、男子諸君はあまりこれを意識したりしない。むしろ日常からの心がけが結果として優勝に結び付いたりする場合が多い。
 
「キングになりゃハクも付くしな。やっぱやるからには何か手に入れないと!」
「はは、ザックスくらいだよ。そこまで意気込んで臨んでるの」
「あ、バカにしたな!」
「そんな事ないよ」
 
 クラウドは手をぶんぶんやりながらそう否定すると、だって、と言い訳のような説明をし始める。
 
「たださ、毎年暗黙の了解で決まってるじゃん。キングになる人。だから誰も狙わないじゃん」
 
 クラウドの言うことには一理。
 見目で狙うわけではないのでどこが評価されるか分からないこの"キング"は、頑張りようが難しいことからも頭の良い奴がなることが多い。今年は特に理事長の息子が在席しているからもっぱら彼がキングになるんじゃないかと噂されている。
 その存在があるだけでみんな頑張りを止めてしまったのだから安直といえば安直だが、世の中そういう七光りはやたら強いと相場が決まっている。
 
「今年はルーファウスじゃないの?頭良いし、外見だっていいし。それに理事長の息子だよ?」
「そんなん関係ねえよ!大体キングになろうって努力もしないで諦めるなんて納得できないって」
 
 俺は頑張るぜ、とザックスは意気込んで言う。
 そんなザックスを見ながらクラウドは、苦笑しつつも嬉しい気分になった。
 確かに努力もしないで諦めるなんて悲しい。ちっとも頑張らないで文句を言うのも、ハタから見たらとても軽薄だし意気地がない。
 だけどザックスみたいに頑張って色々やったら、ダメだったとしてもそれは立派な意見になる。経験から物を言うのと知識や伝聞だけで物を言うのとはあきらかに重みが違うのはこの為だ。
 
「良いなあ。俺も何か頑張れたらな」
 
 ちょっと小さくそう言ったクラウドに、ザックスは、一緒にキングを目指そう切磋琢磨だ!、などと言う。それをすごすごと辞退したクラウドは、俺はまだそこまでは頑張れないよ、と笑った。
 誰かを納得させるための頑張りをする為には、まず自分を納得させる頑張りをしなくちゃいけないから。
 そしてそれがやがてイコールになるまで。
 

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