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⇒@第三話


「友達っていうのは大切な人だよ。家族とか恋人とかとは違うけど…大切な人のこと。例えば友達が辛い気持ちだったら、それに共感したり励ましてあげたりするんだよ」
「ほう」
 
 それが友達というものかと唸るセフィロスにクラウドは、内心冷や汗を垂らしながら、そうだよと頷く。何故なのだか肝心なところを分かっていないこのセフィロスは、これはこうだよ、と言うとそれをそのまま覚えるらしく、とても気軽な事など言えない気がした。
 
 うっかりとんでもない事を教えてしまったら大変な事に成りかねない。かといって構えて堅苦しく教えると変に厳密になって余計こっちが辛くなる。
 まあ世の中程々が良い、腹も八分目が良い。
 
「では、俺はお前の"友達"で良いんだな。おまえが困っている時には、俺はお前を励ませば良いということだ」
「ま、まあ…」
 
 やっぱり今の説明は厳密すぎたかなあとクラウドが困り笑いを見せた瞬間、数少ない客の一団がごにゅごにょと秘密話を始めた。それはいかにも噂話という調子で、視線でそれに気付いたクラウドは、俄か恥ずかしくなる。
 
 何を噂されてるんだろう。
 今の会話、聞かれてたのかな。
 友達がどうのなんて話、普通しないよな。
 変に思われてたらどうしよう。
 
 そんな気持ちが渦巻く中、クラウドは恥ずかしさと厭な気分でいっぱいになった。その生だかいつの間にか俯いていて、セフィロスロスの事をさっぱり見ていなくて、うっかりこの状況を忘れかけてしまったらしい。
 気付いたときには、セフィロスが神妙な顔をしていた。
 
「おい、クラウド」
「…えっ!あ、ごめん」
「早速だが、励ますにはどうしたら良い?」
「は?」
「お前はどうも気落ちしているように見えるぞ。俺は友達だからおまえを励ます使命がある。早速おまえを励まそうと思うが、さっぱり良い案が浮かばん。何をすればいい?」
 
 真剣な調子でそう言われ、クラウドは大層戸惑ったものである。
 まさか早速そう言われるとも思わなかったし、そもそも忠実に実行するとも思わなかった。だけれどセフィロスは言われた通りそれを実行しようとしたのである。まあただ一つ残念だったのは、励ましたい本人に励まし方を聞いてしまったことだろう。心意気は伝わったけれど、何だかやっぱりどこか抜けている。
 
 といっても肝心なことを知らないのだから仕方ないといえば仕方ない……と解決したいところだが、どうしてこう理解出来るところと理解出来ないところが極端なんだろうという疑問はぶっちゃけ残る。
 
「あ〜…ごめん!もう大丈夫だから。心配かけたならゴメン」
 
 クラウドは取り敢えずそう言うと、すっと顔を明るくさせた。
 まあ本心はたじたじなのだが、此処でそれを表情に出してしまったらまたセフィロスロスがあんなことを言い出すに決まっているのだ。
 
「そうか?なら良かった」
「あ、うん。ありがとう」
 
 そう礼を言った先のセフィロスロスはすっきりと笑っている。
 それを見て、クラウドは何だか不思議な気分になった。だってセフィロスロスのその笑顔はまるで、旧知の友に向けられたもののように自然だったから。
 
「……」
 
 変なの。
 何なんだろうこの感覚。
 クラウドはそんな事を思いながらも、先程気になった例の客らをチラリと見遣った。すると客らは、すっかりオシャベリに夢中でまるで自分達しかそこに居ないかのように周囲に無関心状態である。
 何だ、こんだけの事か。
 クラウドはそう思うと、残り僅かなジュースを飲み干した。
 
 
 

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