∈ @HOUSE! ∋
⇒@第ニ話


 じゃあ、この物体は単に眠っているだけということだろうか。
 というか、生きてる人間を箱詰めするというのは一体どういうことなんだろうか。その上それを単なる一学徒に預けるというのはあまりにも無鉄砲ではなかろうか。
 
 しかしそう考えてみると、あの時校長が言った言葉も何だか頷けるような気がしてしまう。確か校長は、色々探ったりしてはいけないというような事を言っていたと思うが、ここまで怪しい物体となると誰だって「コレは何だ?」という状態になるに決まっているのだ。そう考えるとあれは本当にストッパーだったのだ。
 
 誰だって、これを前にしては疑問が沸かずにはいられない。
 一体これは何なのか。
 どうしてこれを預からねばならないのか。
 …そういう事に。
 
「だけど動かないってのは問題だよな〜」
 
 クラウドが校長の事を思い返している間、ザックスは例の物体をぺたぺた触っていたらしく、ああでもないこうでもないと一人で押し問答をしていた。そんなザックスの指摘としては、生きているんだからどうにかすれば動くだろう、という事なのだが、この物体はいくら触っても反応を示さないし起きる気配もない。
 
「コイツ、殴っても反応ないんだぜ」
「や、やめてザックス!」
 
 バコッ!
 
 小気味良い音を立てたその物体は、ザックスが普通に力をこめて殴ったというのにやはりピクともしなかった。全くおかしな話であるが、クラウドとしてはザックスがその物体を殴ったという事実の方が問題だったようである。
 クラウドはガバッとその物体を庇うように体で覆うと、
 
「俺はこれを預かってる身なんだから少しは考えてくれよな!傷つけたらヤバいんだから!そう校長に言われてるんだよ!!」
 
 と泣きそうになりながら訴えた。
 確かに、何かが起こってしまったらそれは預かったクラウドの責任になってしまうのだから、クラウドがそう言うのも無理は無い。そもそも普通殴ったりしないだろう。
 クラウドはザックスに事の経緯を話すと、これはあくまで預かり物で、俺はこれに関与しちゃいけないことになってるんだ、と結んだ。
 
「本当は開けちゃいけなかったのかもしれないんだ。でも箱に、すぐに開封してくださいって書いてあったから開けちゃったんだけど…多分、本当はそれも駄目だったんだと思う」
「へえ、そんな経緯がね…でも何だかそれっておかしいよな」
「おかしい?」
 
 ザックスは、ああ、と頷くと、それらしくウンウンと頷いたりする。一体何に納得しているのかさっぱり分からない。しかしまあ、おかしいことには変わりは無い。そもそも校長から呼び出されてからずっと、全てのことがおかしいのだ。
 
「なあ、生きてる人間を箱詰めにするってのはさ、はっきり言って犯罪行為だよな?で、クラウドに預からせてそんな約束までさせるんだから、こりゃあハッキリ言ってただ事じゃないぜ」
「ザックス…俺だって微かにそう思ってたけど、そう口に出されるとすっごく嫌なんですけど」
「だって本当の事だろ?」
 
 こりゃ絶対に裏があるぜ、そう言い出したザックスは、再度興味深そうに箱の中の物体を見つめると、顎をさすりさすりしながらちょっとだけ笑った。
 そして挙句の果てにはこんな事をいう。
 
「楽しいことになりそうだな!なあ、クラウド!」
 
 ――――やっぱりソコかああ〜!!
 クラウドは心の中だけで絶望という名の崖に立ったものだが、こんなザックスに相談した自分が悪かったんだと腹を括ることにした。もう既にザックスはこの事態を知ってしまったんだし、さっきなんかご丁寧に事の経緯まで話してしまったからそれすらご存知である。
 こうなったらもうザックスを巻き込むしかない。
 
「と、とにかく…これをどうにかしないといけないんだ。まずはそれを一緒に考えてよ、ザックス」
 
 もう裏があっても何でも良いから、これをこのまま放置するか、それとも箱詰めして立たせておくか、その辺りだけ一緒に考えてもらえればそれで良い。問題なのは今どうするかということなのだ。
 
 が、そんなクラウドの焦りの隣で、ザックスはといえばある物体を弄り出していた。人が折角真面目にこれからの幸せについてを話し合おうとしているのに、である。
 しかもその物体とは、箱の中に同封されていたリモコンのような物体だった。
 
「何だこれ?」
「分からないよ、何だか一緒に入ってたんだ。ボタンがいっぱいついてるけど、どうやって使うのかも分からないし…そもそもリモコンで動きそうな機械も入ってないし」
「へえ…じゃあちょっと押してみようぜ」
「ええっ!?ちょ、ちょっと待っ…」
「え〜い!」
 
 プチッ
 
 ――――――天晴れ、怖いもの知らず…。
 

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