∈ @HOUSE! ∋
⇒@第ニ話
クラウドが止めるも空しく、ザックスはサクッとリモコンのボタンを押してしまった。リモコンには色々ボタンがついているが、どうやらザックスが押したのは「POWER」というボタンであるらしい。まあ「POWER」を最初に押すのは最早世間の常識だが。
…で。
そんな怖いもの知らずのザックスが押した「POWER」ボタンは、リモコンと連動している機械なんて何も無いはずなのに、ウイイイインという音を立てるに至った。
一体どこからそんな音が出ているんだ!?
そう思って二人が周囲をキョロキョロしたその直後、その部屋にとうとう異変は起こる。そう…それはもう偉大な異変が。
その異変とやらは、全長2メートルほどの巨大さを持ってやってきた。
銀色の長い髪と、端正な顔立ちと、そして―――――全裸でやってきた…。
「……おい、お前ら」
突然響いたそれに、ビックリして二人が声の方を振り返ると、そこには巨大で真っ裸な男が立っていた。その肉体たるや写真集でも出したほうがよかんべというくらいの…というのはともかくとして、とにかくソレは例の箱の中からズモモモと聳え立っていたのである。
「で、でででで出たああ!!」
「うお〜でけえ!」
二人が思い思いのことを口にする中、その巨大な物体は箱の中からひょいと足を出すと、しがないクラウドの部屋の床へとべったり足裏をくっつけた。そして、全裸のくせに妙に2枚目な調子でこう言った。
「お前ら…一体、何者だ?」
―――――こっちが聞きたいよおおおお!!!
クラウドはすかさずそうツッコんだが、そのあまりの威圧感にとてもじゃないが口には出せなかった。がしかし、隣のザックスは驚くよりも感心している方が大きいらしく、ごく普通に言葉を口にしている。
「すっげーでけーチンコ!」
アンタの言ってるデカイはそこか!、そうツッコみたい。
「当然だ」
普通に答えてる巨根男…じゃなくて巨大男もどうかと思う。
そんなどうでも良い話題で普通に会話を成立させている二人が、クラウドにはさっぱりワケが分からなかった。そもそも驚く所も感心する所もそこじゃないだろうと言いたい。今問題にしているのは、この巨大男が普通に立ち上がって喋ったというところにあるのだ。しかも、クラウドの記憶が確かなら、この巨大男はあのリモコンの「POWER」を押してから動き始めたのである。まさか機械でもあるまいに、これは一体どうなっているのだろうか。
そんなふうに疑問と驚きとを膨らますクラウドの前で、一足先に慣れた…というか最初っから正常な部分では驚きもしてないザックスが、あれこれと動き始めた。クラウドの部屋だというのに、勝手知ったるというふうに立ち回っている。
「まーまずはアレだ。服だろ、服。なあクラウド、お前LLサイズ持ってる?」
「えっ!?あ、えっと、俺MとLしか持ってない」
「だよなあ。俺の服着れるかな、この人。ちょっと持ってくるわ」
「え!?ザックス帰っちゃうの!?」
まさか一人でこの空間に耐えられるとは思えない。何だか良く分からない威圧感が漂っているこの部屋で、一人でいるなんて。クラウドは半ベソをかきながらザックスにそう訴えたが、ザックスはきょとんとして「隣だしすぐだって」としか言わなかった。そして、無情にも部屋を去っていってしまう。
――――ザ・独り。
隣を向くとそこにはすぐデカい裸体の人が立っている。しかも超絶威圧感を漂わせて立っているのだ。
「…あ、あの…」
どうしよう、このままじゃあ耐えられない。そう思ってクラウドはとりあえず口を開いてみる。そうする間も心臓がバクンバクンいっていて、何だかちっとも落ち着かない。
しかし、取り敢えず初対面なのだから挨拶をすべきである。これ基本。
「お、俺、クラウド…あの、あなたは…?」
「俺はセフィロス」
どうやら名前はちゃんとあるらしい。
「あ、あの…何で箱なんかに入っていたんですか…ね?」
「箱?」
セフィロスはクラウドの言葉に眉を潜めると、何だそれは、などと言ってくる。だもんだからクラウドは驚いて何も言えなくなってしまった。何だも何も、箱から出てきた張本人は貴方じゃないですか、と言いたい。しかし本人は全くそんな事は知らないとでも言うように首を傾げている。
一体どういうことなんだろう?
クラウドはそんな疑問を心に抱えつつも、これからの毎日が思いやられるなあと思うのだった。
つづく
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