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⇒@第一話


 
 MISには寮というのがある。
 クラウドは当初その寮に入ろうと思っていたのだが、ある理由があって寮ではなくオンボロアパートに住むことにした。
 
 それは実に切実なことに、金銭の理由だった。
 何と驚いたことに、クラウドの探し出したそのアパートは寮費よりも随分と安かったのである。それというのもMISがそれなりの名前を持ったスクールだからかもしれないが、ともかくその寮というのはちょっぴり高い費用を必要としていたのだ。
 
 MISの寮には完全な設備が用意されていて、食事は勿論のこと娯楽施設も勉強施設も医療施設も、本当に何から何まで揃っているのである。まるで一個の町がまるまる入ったみたいな寮なのだ。
 だからこそそんな寮に入ってみたかったのだが、残念なことに、だからこそそんな寮には入れなかった。…あんまり高くて。
 
 というワケで、クラウドはしがないオンボロアパート暮らしをしていたわけだが、それはそれで結構良い環境だったからクラウドはそこそこ満足している。
 
 すきま風は入るし壁は薄いしゴキブリも出るけれど、それでもこのアパートには何だか温かみがあるのだ。それもきっと、あまりに設備が整っていないせいで住人が協力しなくてはならないからなのだろう。
 
 管理人は、シドというべらんめえ口調の男である。
 シドは以前、宇宙開発という大きな仕事をしていたらしいが、その夢が破れて今に至っているらしい。どこをどうすれば宇宙開発からアパート経営になるのか分からないけれど、ともかくそんな過去を持つシドだから夢のある青年にはとてつもなく熱い。
 
 前にクラウドが「絶対にスクールで一番になりたいんです!」と熱く語った時などは、男泣きをして大酒盛りになったほどである。まあその所為で翌日はすっかり勉強が頭に入らなかったのだが、まあその男気にはクラウドも大満足をしている。
 
 で、アパートの住人というのも何だか面白い人が多かった。
 
 まずクラウドの隣家には、ザックスという同じMISの学生が住んでいる。
 彼はシドと同じく男気のある人間で、人懐っこいこともあるせいか、今ではクラウドの親友レベルになっているほどだ。
 
 それからザックスの隣家は、ヴィンセントという物静かな青年が住んでいた。
 ヴィンセントはシドやザックスとは全く違ったタイプで、だけれど何だか一緒にいて安心できる存在である。何をしている人なのかあまり詳しくは知らないけれど、何か研究でもしている人なのだろうとクラウドは思っている。それが証拠に、以前チラっと見た彼の部屋は書物が理路整然と並べられていた。しかも妙にコアな内容のやつだ。
 
 それから二階には、レノという男とルードという男が住んでいた。
 この二人は何故か同居をしているのだが、噂に聞いたところによると家賃節約の為の同居らしい。まあそんなことはどうでも良いのだが、とにかくこの二人も何だか面白い人達だった。
 
 レノはどこか掴み所のないサッパリした男で、クラウドの感想からすると結構なお洒落さんである。一方ルードの方はというとこれがヴィンセント以上に寡黙な男で、だけれどガタイが良いせいか妙に威圧感があるふうだ。何だか本職っぽな、というのがクラウドの感想だったが、悪い人ではない事は確かである。
 
 まあそんな具合にクラウドの住むアパートは面白い人が揃っていて、それぞれが協力し合うものだからクラウドはそんなアパートに満足をしていた。今では、むしろ寮に入らなくて正解だったのじゃないかとさえ思っている。
 
 ――――――で。
 
 そんなお気に入りの寮に、ある日、クラウド宛の宅急便が届いた。
 それは例のブツ…校長に頼まれた預かりもの、である。
 
 その日、MISから帰ってきたクラウドはシドから荷物のことを聞いてダッシュで部屋までを向かった。というかダッシュする距離じゃないけど、まあ心的にダッシュしたかったのである。そして部屋の前についたとき、クラウドは置かれていた物体を見て思わず呆然とした。
 
「で…デカイ!!!」
 
 …そう、その預かりものは、いかにもデカかった。
 1.5m…いや、2mはあるだろうというデカさである。
 そんなドデカイものを良くこのアパートに入れたなあと妙なところに感心したクラウドは、とにかくこのドデカイものを部屋に入れなくてはと、荷物を抱え込んだ。
 …が。
 

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