∈「S−CLUB」∋
⇒何時かきっと会える


「じゃあ、良いわ。諦めてあげる。でも最後のお見舞いに――――――――」
 ビシャ…!
「さようなら」
 彼女は、悔し紛れ、ツォンに水をぶっかけて去っていったのだった。
 
 
 
 何はともあれ一件落着。
 そんな訳で、仕事明けに一同は、無礼講と言うことで何とフロア内で一緒に酒を煽った。
 ツォンは水をかけられて濡れ切っていたが、これも仕方無いことですよ、なんて笑いながら着替えるでもシャワーを浴びてくるでもなくそのままでいる。
 今回の騒動は何だかただの騒動とは違って、妙にS-CLUBとして皆が一つになったような具合だったから、それはそれで皆気分が良かった。特にルーファウスなんかは、口にこそ出さなかったが、それこそ涙が溢れんばかりであったのは言うまでもない。
 単なるオーナー、されどオーナー。
 苦労してきた数年前、こんなふうに皆で酒を飲んでバカ話なんかできるとは思ってもみなかった。それでも今そうできることは、最早S-CLUBがルーファウスのただの趣味の店ではないことを物語っている。
 皆にとってS-CLUBが、あんまりにも大切な店になっていたという事実…それを、それぞれが感じずにはいられなかった。
 そんな事を胸に秘めてバカ騒ぎとバカ飲みをしていると、とくとくと時間は過ぎていき、いつの間にか世間の通勤時間に差し掛かる。
 さすがにもうお開きにしようと立ち上がったのは、明日もバリバリと仕事をしなきゃならんホスト連中であった。しかしオーナーはすっかり上機嫌でまだ飲み続けている。…さすがザル。で、これについていけているツォンも更なるザル。ザルザルでござる。
 そんなルーファウスに、優しいホスト連中は一言をかけて帰っていくのだった。
「オーナー、お疲れ」
「明日からまた宜しく」
「お疲れ〜」
「お疲れ様でした!」
 セフィロス・ヴィンセント・ザックス・クラウドの順にそうして一言口にして去っていくと、さて、そのフロアには二人だけが残された。
 先ほどまでバカ騒ぎでわいわい楽しくやっていて賑やかだったその場は、その瞬間にシーンと静まる。 

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