∈「S−CLUB」∋
⇒何時かきっと会える


 その中で、ツォンはルーファウスを見遣りながら言った。
「…良い店になりましたね」
「そうだな。うん、そうだ。これもお前のお陰だ。…ありがとう、ツォン」
「そんな!私ではなくルーファウス様あってのS-CLUBでしょう?」
「いや。でもツォンがいたから私はやってこれたんだ。だから今があるんだ」
 そう言ってもう一度「ありがとう」を口にするルーファウスに、ツォンはふっと笑う。それから何を思ったのか、こんなことを切り出した。
「じゃあ…一つ、お願いがあります」
「何だ?」
「キス、して良いですか。今、此処で」
「……勝手にしろ」
「――――じゃあ…」
 すっと重なる影――――――――何ともロマンチックなワンシーン。
 と、そんな感動的なワンシーンを壁の隅の方でこっそり覗いている四つの頭があった。その四つの頭はすっかり覗きに没頭して、更にはそのワンシーンに深く深〜く納得をしていた。
「―――――なるほど」
「やはりそういう展開か…」
「まあ何とな〜く分かるわなあ…」
「!!?(ツォ、ツォンさん!?オーナー!?)」(←1人だけ分かっていなかった)
 覗きもそこそこ、納得もできたところで、さてじゃあ本当に帰るか、と四つの頭は動き出す。そんな中、クラウドは一人ビックリ仰天していたもんだから、すっかりその壁から離れられなかった。
「どうした、クラウド。行くぞ」
 それに気づいたヴィンセントが壁からクラウドを引き剥がす。けれどクラウドは、何だか俺は気になって仕方無いよ、なんて言ってモジモジしていた。
 しかしそこでセフィロスの一言。
「バカ。これ以上の覗きはさすがに失礼だぞ。どうやらツォンは侮れないようだからな。あの男は言う時は言う男だ。やる時もやるだろう」
 ―――――その"やる"ってどういう意味ですか?そうとは誰も聞かなかった…。
 
 
 
 翌日。
 店の前には、いつの間にか大きな張り紙が張り出されてあった。
 "裏指名お断り"
 その張り紙を見たルーファウスは「誰だまったく、こんなものを貼ったのは」だとか言って、いつも忙しいと口癖のように言ってるくせに私の指名が減るだろうとか文句をブツブツ言っていた。
 っていうか、そんなの書く奴、一人だけしかいないだろう!?
 ホスト連中がこぞって心の中でそうツッコミを入れたのは言うまでもない。
 

END

 


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