∈「S−CLUB」∋
⇒何時かきっと会える
ある日、例によって裏指名されてルーファウスはあるテーブルについた。
その日のルーファウスはツォンも連れてきていて、それを見たホスト連中は「あ、今日は一番普通じゃない」と思ったものだ。きっとツォンに酒を作らせるに違いない。
しかし、この日は何だか様子が違っていたのだ。
何がって、ルーファウスの顔がどことなく険しい。しかもおかしな事にツォンの顔も険しかった。
ツォンという秘書は普段、あんまり皆と世間話などをする機会がなくて、皆の中でも謎な部分が多い人であったが、温和で真面目そうだなあという部分は誰しも分かっていた。そんなツォンがあんな険しい顔をしているのだからコレは何だか変である。
そんな訳で、それぞれ客についてはいたけれど、ホスト連中はそれが気になって仕方無かった。
「ルーファウス、お久し振りね」
「お前が来るとは思わなかったな」
「ふふ…私はいつでも貴方を見ているわ。甘く見ないで」
かっきりとモノを言うその客、どうやら只者ではないようである。外見めちゃくちゃの美人で、スタイルも抜群。どう考えても男受けの良さそうな感じがする。
が、ルーファウスもツォンも何だか顔が険しいままだったので、その客はどうも招かざる客であろうということだけは皆も何となく分かっていた。
「ねえ、ルーファウス。私まだ諦めてないのよ。どう、もう一度考え直してみてくれない?」
「嫌だ。考える必要性もない」
「またまたそんな…。ねえ、ツォン。あなたも何か言ってやってよ」
「……」
ぐわ〜んと拡がっていく暗雲…一体何だろうか、コレは。
彼女はそんな暗雲を気にもとめず、サクサクとルーファウスに話しかける。
「水臭いわね、ルーファウス。今の客なんてどうせ知りやしないでしょ、貴方のコト。私はルーファウスとツォンの対立時代だって知ってるのに」
――――――対立時代!!??
酒を飲んでいたホスト連中の誰しもが手を滑らせそうになった。実際クラウドは本当にグラスを落として「す、すみませんっ」とペコペコ謝ったものだ。
しかしそんな騒動もナンとやら、彼女はルーファウスに話を続けている。
「私はいつだって貴方を見てきたじゃない、ルーファウス。貴方、どれくらい私に恩があるか分かってるんでしょ?だったら……そろそろ良い返事をくれても良いんじゃないかしら?」
「お前…過去のことを引き出すのは卑怯だぞ」
「ううん、過去じゃない。私にとっては今もずっと続いてるの。ねえ…8年経っても私―――」
彼女は、ゆうにFカップはありそうな胸を惜しみなくぴっとりとルーファウスの腕にくっ付けると、うふふ、と笑ってこう言った。
「貴方が私の夫になってくれるのを、待ってるのよ」
ガッシャーン…
その瞬間、セフィロスとヴィンセントとザックスとクラウドは、同時にグラスを落とした。
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