∈「S−CLUB」∋
⇒何かちょっと幸せ


「俺はその女のように手遅れになりたくはないのでな。公言しておこう、クラウド」
 何をですか!?――――――クラウドはドキドキしっ放しである。
 そんな中で、セフィロスの言葉は容赦なく響いた。
「俺はお前が好きだと思う。お前は俺にとって、あまりにも新鮮だ。気になる」
「な…ななななっ!!??」
 新鮮?気になる?っていうか、"好き"ですと!?
 これはどうしたことか。一体何が起こっているのか。
 クラウドの思考回路は一気にパンクした。確かいつだったかセフィロスの部屋でも何だか妙な出来事が起こったような気がしたが、今度はそれどころの話ではなさそうである。何しろ芝居とはいえ恋愛の会話からの流れでこうなったのだし、セフィロスの眼も真剣そのものだ。
 いかん…このままでは、絶対にノックアウトしてしまう…!
「ちょっと待った!」
 自分の感情に危機を感じたクラウドは、セフィロスの顔面に両手を突き出して、それを眼一杯に広げた。それから、必死になって叫ぶ。
「今は修行中でしょ?最後までちゃんとやろうよ」
 しかしこの言葉が悪かった。
「何。最後までちゃんとやろう、だと?…分かった。お前がそう言うなら最後までちゃんとやるか」
「え。ちょ、ちょっとセフィロス!?え、え、うわわわわわ!!!!」
 何ということか、セフィロスはクラウドを押し倒した。仮にも仕事場たるフロアのソファの上でである。その上素早くクラウドの服に手をかけると、それを器用に引き剥がしていくではないか!
 その手つきを見ていると、毎晩誰かを連れ込んでいるというのも本当ではないかという気がしないでもない…。
「ちょ、ちょっとセフィロス!何するんだよーっ!!!」
「何って。だってお前が言ったんだろう。最後までやりたいと。大丈夫だ、何も心配することはない。これでも俺は上手い」
「いや、そういう意味じゃなくて!」
 そういう間にもセフィロスときたらクラウドの服を着々と脱がし、上半身だけならともかく、とうとう下半身まで手を伸ばし出した。一体このままだとどういう事になるか、クラウドは気が気じゃなかったが、しかしやっぱりいつかのように何だか妙な気分になってしまうのである。
 何だか、気持ち的には嫌じゃないような…―――――それが、完全な拒否をできずにいる理由。
 しかし良く考えたまへ。このままではフロア内で、事もあろうにナンバーワンホストのセフィロスとあんなことやこんなことをしてしまうだろう。クラウドが拒否をしない限り、それは着実に進んでしまうわけである。
 となると、やはりこれは問題だった。
 もう既に、修行がどうのとかそういう問題ではない。売上とかそういう問題ではない。今目前にある危機だ――――!
「セフィロス、やばいよ!オーナーに怒られるよ!」
「大丈夫だ。どうせアイツだって今頃お楽しみ中だろ」
 それにアイツなんかこの前フロア内でやってたし、と問題発言までしたセフィロスは、とうとうクラウドにキスをし、事を始めようとした。
 その瞬間、クラウドが諦めかけたのは言うまでもない。
 嗚呼――――――――――もう、いっか…、と。
 
 が、その時。
 

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