∈「S−CLUB」∋
⇒何かちょっと幸せ


 結局クラウドは「いつもの」が何なのか分からないまま、言われたままに予測してアルコールを出した。が、それはどうやらてんで的外れだったらしく、そこでまたピシャリと怒られたりする。正に、てんてこ舞いってな具合。
 で、その次。
 クラウドにとって一番のネック…会話、である。
 これはホストの売りの一つでもある部分だが、クラウドはどうやらこの部分が欠けているらしく、会話というのがどうしても苦手だった。普段、セフィロスやヴィンセントやザックスやルーファウスと話をするときは全然気軽にできるのに、どういうわけか自分のテーブルにやってきた客にはしどろもどろになってしまう時があるのである。
「え、っと…その…」
 何か良い話題はないか、そう思ってクラウドは必死に頭を回転させる。けれどやっぱり上手い具合に話題というのは出てこない。
「…クラウド。話題は何でも良いんだぞ。但し客は女だということを頭に入れておかねばな」
「お、女の人…そうだよな…よしっ!」
 そう気合を入れて顔を上げたクラウドの目前には―――――…セフィロスの顔。
「…うっ!」
 百歩…いや、百万歩譲っても、女性には見えない……。
 加えてセフィロスなんかは男から見ても格好良い「男」なわけだから、そのセフィロスを前にして女の人にするような話題など、とてもじゃないけど口をつかなかった。
 この顔を向かって、どんなタイプの男が好みなの?なんて聞いてもみろ。
 そうだなあ、程よい筋肉がついていて…なんて言われた時点で唖然としてしまうことは確実―――――…例えそれが客としての芝居であっても、である。
 嗚呼、どうしよう――――――!?
 目前にあるのがセフィロスの顔だと思うと、もうどうしたら良いかワケが分からなくなったクラウドは、ヤケになって酒をガツンとガン飲みすると、その勢いでやっとこさごく一般的な会話を繰り出した。
「仕事、何してるの?」
 はっきり言って、そんなこと聞かんでも知ってる。
「ああ、夜の仕事を少し」
「そっか、夜の仕事なんだ。俺と一緒だね。でも、お…おおお、お、女の子は大変じゃないの?ほら、お肌がどうのとかそういう…」
「ああ、そうだな。肌荒れは大敵だ。しかしもっと大敵なのは、色気の減退だ。とかく色気が無くなると急に老け込むからな。だから俺はなるべく毎日ベットに誰か連れ込むようにしているのだ」
「ええええええええええ―――――!!!??」
 クラウドは思い切り叫んだ。本当に思い切り叫んだ。ホストと客というシチュエーションだと言うことも忘れて叫んだ。

 

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