∈「S−CLUB」∋
⇒何かちょっと幸せ
「ふむ…では、こうしよう」
セフィロスは徐にそう口を開けると、クラウドにこんな事を提案した。
「まず俺が客になる。だからお前はいつも通りにやってみろ。で、俺が、お前のどこをどうすれば良いかを判断する」
「え。それってつまり、セフィロス相手に接客しろって事?」
「そうだ」
「えー…」
クラウドはいかにも「嫌です」というオーラを発した。っていうか、本気で嫌だ。だってセフィロス相手に接客なんて恐ろしくて、とてもじゃないけどいつも通りになんて出来そうもない。
「文句を言うな。俺はそれだけしかできないんだから」
しかしセフィロスはそんなクラウドに喝を入れると、早速というようにクラウドをフロアに連れ出したのだった。
その間、クラウドが心の中で「俺が頼んだわけじゃないよ〜」と泣きべそをかいたのは言うまでもない。
準備時間帯のフロア使用は基本的に禁止だったが、その時はさすがに無礼講であったらしい。どういう思惑なんだか分からないが、着いたフロアはしっかり電気がついていた。これはセフィロスが点けたものではないから多分、あのオーナーの仕業だろう。
こんなところに用意周到にならなくても良いのに…そう毒づきながらクラウドは渋々席につく。セフィロスはクラウドのテーブルに客として腰を据えていたが、その態度ときたらとてもじゃないが客とは思えなかった。
はっきり言って、セフィロスのテーブルにクラウドが客として「こんばんは〜」なんて入っているようにしか見えない。
「え、っと…何を?」
早速というようにチラ、とセフィロスを見遣ったクラウドは、取り敢えずのオーダーを聞く。
「いつもの」
「…は?」
―――――――――なんじゃ、そりゃ?
クラウドがぽかんと口を開けていると、セフィロスは人差し指をチッチッなどとやりながら「駄目だな、それでは」などと言い出した。
「いつもの、と言われてすぐに用意できるようでなければ駄目だ。記憶力が良くなければな」
「え。でも俺、セフィロスの接客するの初めてだし…」
「そういう時は予測で出せ」
「ええっ!?そんな!無茶苦茶な!」
どうやらナンバーワンホストは並じゃないらしい。
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