∈「S−CLUB」∋
⇒何かあなたに



 ここ数日、何だかセフィロスの調子が悪い。
 オーナーがブスッとした調子でそう零していたのを聞いて、クラウドは何だかそれが気にかかっていた。だから注意してセフィロスの仕事風景をチラチラと見ていたのだが、どうもやっぱり調子が悪いらしい。
 いつも客の前で無口なセフィロスだが、それは今日もやはり変わらない。まあいつもそんな調子だから、いきなり饒舌になってああだこうだ話し始める方がよっぽど「何かあったのか!?」という感じだったが、同じ無口の中でも何だか雰囲気が違っていた。
 そう、セフィロスは何だか上の空なのである。
 一番の古株、しかもナンバーワンであるセフィロスがそんなことをするはずがない。無口でも人の話はしっかり聞くし、客には注意をしている。なのに、そんなセフィロスが上の空―――――これは絶対におかしいことだった。
 そんなだったからクラウドは、その日の仕事が明けて家に戻ったとき、唐突にセフィロスの家を訪ねてみようと思ったのである。
 時間は午前に入ってかなり経っていたし、もう眠いというのもあったが、何しろセフィロスの様子が気になって仕方無い。幸い最近のセフィロスはクラウドの横の家を使っているようだったから、数歩歩くだけでその家に訪ねることができる。
 ちょっぴり緊張してしまうセフィロスのところに自ら訪ねるというのは何だか変な感じだったが、ココは意を決して、クラウドはその家を訪ねることにした。
 
 ピンポーン。
 そうインターフォンを鳴らした後、少ししてセフィロスが出てくる。
セフィロスはクラウドの顔を見てビックリしたようだが、特に何か非難するとか嫌味を言うでもなく、どうした?などと言ってきた。
 しかしその言葉を聞きたいのはクラウドの方である。
「あの…ちょっと話したいことがあるんだけど」
「話?一体何だ。手短に頼む」
 やはり手堅い。
「あのさ、立ち話もナンだから…その、入っても良い?」
 何て大胆不敵なんだ自分!そう褒め称えながらもクラウドはセフィロスにそう進言する。セフィロスはそんなクラウドに顔を顰めた。そりゃ当然だろう、何せその家はセフィロスの趣味の家なのだ、そうそう簡単に承諾してもらえるはずもない。
 …と思ったが。
「…良いだろう。入れ」
 何とセフィロスはサクッとその家にクラウドを入れてくれたのだ。驚いたのはクラウドの方である。
 しかしココで驚いて固まっているわけにもいかないわけで、クラウドはここぞとばかりに「お邪魔しまーす!」と元気良くそこに入り込んだ。
 
 

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