∈「S−CLUB」∋
⇒何もできないからせめてこれだけ
さすがナンバーワンホステスだけある、侮れない。しかし相手がもしクラウドでなければこんなことにはならなかっただろうし、ザックスとてそんな具合にエアリスと接しているわけではない。
エアリスがセフィロスやヴィンセントを指名しないのは結局、こういう具合に事が運ばないからなのだろう。何せ無口な男達なのだ。あ〜んとか言ったってムスッとするだけ、悩みがあったら言ってねなんて言われ様ものならテコでも口を開かないことうけあいである。それじゃあエアリスも面白くないわけだ。
ともかくクラウドはそうしてエアリスとの変てこりんな時間を過ごしたわけだが、どうもやっぱり何だか疑問が沸いて仕方なかった。
何がって、エアリスはこんなことをして楽しいのだろうかということである。
だってエアリスは仮にもホステスさんなのだ。
ナンバーワンといったってサービスする側なんだから、それなりにいつも男に優しく接しているのだろうけど、こうして仕事以外のところでも同じようなことをして疲れてしまわないのだろうか。
これがもしザックスだったら話は別だろう。だってザックスなら絶対にエアリスを笑わせることができるけど、クラウドにはとてもじゃないけどそれは出来ない。
何だかクラウドはそんなことが気になってしまって、結局最後には一人で沈んでしまった。
けれど、エアリスは一向に構わないという具合にサービス満点を続けるのだった。
その日の帰り際、店の外まで送ろうと一緒に店を出たクラウドは、思い切ってエアリスに聞いた。
「あの…エアリス。今日、その…楽しめた?」
「ん〜?何で?」
「だって、その…。俺、何だかエアリスのこと、疲れさせちゃっただけじゃないのかなあって、そう思って」
どう考えたってそうとしか思えない。けれどエアリスはそんなクラウドを見ながらウフフと笑うと、唐突にクラウドの手を握った。
「わっ!ど、どどどうしたの、エアリスっ」
「えへへ〜驚いた?クラウドって何だか面白いね」
「お…面白いって…」
それって誉めてるの、バカにしてるの!?とツッコミを入れることもできないまま、クラウドは自然と首を傾げる。
エアリスはそのクラウドの顔を覗き込むようにしながら、また笑った。
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