∈「S−CLUB」∋
⇒何時でもどこでも君が欲しい


「あの話も全て、ニセモノか?」
「話?ああ、あれはな。でも、あながち嘘じゃない」
 そんなふうに言ったルーファウスは、アンの話と本当の自分の過去についてを簡単に比較説明し出す。
「私には残念ながら金はあったんだ、まあ家があれだから…な。でも家を飛び出したのは本当だし、帰る場所が無いのも本当だ。親も、あの時点でこの世にはいなかった。私の元に残ったのは――――――金だけだ」
 そう言って笑うルーファウスをセフィロスは、あの日同様静かに見詰めていた。
 何となくそのセフィロスの雰囲気が勝って、ルーファウスも真顔に戻ってしまう。
 それは、ちょっと不思議な空間だった。
「私は平気だ。何せお前が大量発注を望んだ酒で、いつでもグラスはいっぱいだったからな」
「…そうか」
 そう言ったものの、セフィロスは何だかルーファウスの言葉に別のことを考えていた。
 ルーファウスは良く酒を飲む。そして、良く酔う。
 でも、いつからそうなったのだろう?
 もしそれが――――――あの大量ストックのウイスキーに始まったものだったとしたら。
 そう思うと何だか大丈夫だなんて言葉は信用できなかった。とはいえ、勿論今のルーファウスと過去のルーファウスは違う。だから現状セフィロスがルーファウスをそれほど心配する必要性などどこにもないのだろう。
 けれど、あの大量ウイスキーを何を思って飲んでいたのだろうかと思うと…何だか妙な気分だった。
「オーナー」
「ん?」
「慰めが必要か、あの時の?」
 ふとそんなふうに言い出したセフィロスに、ルーファウスは驚いて「は?」と声を上げた。
「今のことじゃない、あの頃の分の慰めだ。もしオーナーが望むなら…そうしないでもない」
「…ふうん?」
 ルーファウスはその言葉にニヤニヤしだすと、
「それは勿論、身体でだろうな?」
 そんなことを言った。
「それが希望なら」
「そうかそうか。でも…良いのか、そんなこと言って?お前、好きな奴くらいいるんじゃないか?」
「オーナーこそいるだろう?」
 お互い名前など出さずにそんなふうに言い合うと、ついついププッと笑ってしまう。もしそういう存在が今いるとして…そうしたらこんなことは浮気も同然だ。しかもどうだ、オーナーとナンバーワンホストという顔ぶれ、こりゃスクープ並である。

 

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