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あくる日セフィロスはやっぱり俺を誘った。
たまには話そうと言われて、どう「たまに」なんだか分からなかったけど、あまりにも誘いを断り続けてきた俺は、その日だけはそれに了解することにした。
軍が大好きなビアガーデンに連れて行かれた俺は、酔って乱チキ騒ぎをしている男供の中でひっそりセフィロスと二人で飲むことになった。
冷えたビールにつまみのチョリソー。
異論なんてまるでない満足な状況の中で、俺はそれでもやっぱり笑えなかった。優しい言葉なんてかけられなかった。セフィロスが笑うたびに俺は笑顔を失っていく。
「こういうのも嫌いか?」
俺が詰まらなそうに見えたらしいセフィロスは、やっぱりそんなことを聞いてきた。それは俺を苛立たせる。
「どうでも良いじゃんそんなの。いちいち気にするなよ」
気にするに決まってる。
幸福の大概は笑顔と共にやってくるんだから。
「気にしてはいけないということか」
「別にそうは言ってないけど」
「そうか」
セフィロスは端的にそう言葉を放つと、そのまま黙ってビールを仰ぐ。そこから俺たちは暫く黙り込んで、まるで時が止まったみたいな空間に座ってた。周囲の喧騒だけがやけに耳に付いてそれが何だか嫌だった。
笑い声。
幸せそうな笑い声。
俺には最早出来ない笑い声。
――俺の心からは消失した。
「人は」
突然。
セフィロスがそう口を開いて、俺はその方向を向く。すると、セフィロスはチョリソーにフォークをぶっ刺したまま止まってて、俺からは見えないように下を向いていた。
「人は何故何かを欲するのだろう。何も欲せずにいれば悲しみなどとは無縁なのに、相容れぬ物にさえ笑えるのに」
その言葉が響いた瞬間、俺は一気に悲しくなった。それから罪悪感が襲った。
俺のせいで。
俺のせいでそんな事を言うのか。
俺が優しく出来たらそんな言葉は出てこなかったんだろう。俺さえ優しく出来ていたら。
「……」
「ザックス、帰るか」
「え…」
「帰ろう」
セフィロスは俺の顔を見せないままにそう言った。
それは、俺が愛されることの、終わりを告げていた。
カッコ良くいて欲しいとか、俺の言動にいちいち動揺するなとか、思えばそれは俺の希望に過ぎなかった。確かに今迄のセフィロスからすればそれは不自然だったから、俺が「おかしい」と言うのも不自然じゃなかったろうけど。
でもセフィロスだって人間だ、何が起こったって不思議じゃない。
人を好きになったり嫌いになったりする。
だけど俺はそれが耐えられなかった。
俺の言うことなら何でもきくようなセフィロスは、俺の希望じゃなかった。だけどそれは俺が俺の希望を押しつけた結果だったんだろう。
優しく出来ていたら、何か変わっていたかもしれない。優しく出来ていたら、未だにセフィロスは俺の希望通りの人でいてくれたのかもしれない。やさしくできていたら。
ごめん。
優しく出来なくて、ごめん。
END
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