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涙は枯れてしまった。
もしかすると涙というものを作る器官は私の中から無くなってしまったのかもしれない。
「幻想を愛して何になるの?死んだ人はもう戻らないのよ」
私の背後では先程からそんな女性の言葉が響いていた。
それは見ず知らずの女性で、毎日此処にやってくる私の事を知っている唯一の人間だ。私は彼女の名前も知らぬし姿形も記憶していない。だがその響く声だけは耳の奥にこびりついており、いつも責められているような気分になったものだ。
「いつまでもそんなふうにしていたら、その人も静かに眠れないわ。もう眠らせてあげたら?」
「…眠りたいわけじゃない、彼は」
私はそれを知っている。
そして、私がこんなふうに懺悔するように毎日此処にやってくることを望んでいるのも、知っているのだ。
此処は、墓地。
緑の茂るひっそりとした場所にある、淋しい墓地。
「俺が死んだとしたら、それはどんな経緯であったとしてもヴィンセントのせいだからな」
クラウドは常々そう言っては私を困らせていた。
もし、の話であったとしても、死んだらなんて言葉は不吉だし縁起が悪い。しかしクラウドは、私の態度の冷たいことに憤怒していつもそう言っては良くない笑みを浮かべたものである。
冷たい態度、というのがどんなものか私には未だよく分からない。
ただ、クラウドの言っていた言葉から察するにそれは、心に住まう重度であるらしかった。
勿論私はクラウドの存在を軽んじたことなど無かったし、むしろいつも気にかけていたつもりだ。がしかし、私の思っていたそれとクラウドの感じていたそれには差があったらしく、私は最後までそれに気付くことができなかった。
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