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俺は生まれて初めて、欲しいものを手にいれたと思っていた。
そう勘違いしていた。
クラウドの言う言葉や与えてくれる感情、そして俺がそれに返す感情。それらはまるで、欲するものを手に入れたとでもいうような錯覚に俺を陥らせたのだ。
しかし、それは違う。
クラウドが俺を好きだという時、それは必ず俺を英雄として認識した上でのことだった。何もなく、何も持たず、何の価値もない俺であったなら、クラウドはそんな言葉も感情も持ちはしなかったのに違いない。それが証拠に、もうすぐやってくる俺の誕生日に向けて、クラウドは笑って俺にこう問うた。
「ねえ、誕生日には何が欲しい?セフィロスは何でも欲しいものは手に入っちゃうだろうから、俺のあげるものなんて大したことないって思うかもしれないけど」
こみ上げるのは喜びなどではない、悲しみだけだ。
人の誕生を祝うというそれに、どうして俺は悲しみを覚えねばならないのか。クラウドが笑い、そして放つ言葉に、俺はどうして喜びを感じることができないのだろうか。
俺には何も無い。
欲しいものなど手にいれた試しがない。否、それは未来永劫手になど入らないものなのかもしれない。尤も、仮にこの星の人間全てが無に帰すのであれば或いは可能かもしれないが。
「ねえセフィロス、何が良いの?何も欲しいもの、無いの?」
無邪気にそう聞くクラウドに、好きであるはずのクラウドに、俺はただ一つだけ欲しいものがあると伝えた。するとクラウドは、飛び跳ねるような笑顔を見せてそれは何かと聞いてくる。
俺はそれを見、そしてゆっくりと口を開く。
叶えられない、今この瞬間でさえ裏切られている、俺がずっと望んでやまないものを。
「自分」
END
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