∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒本当に、好きだよ


 某ハイスクールには、ザックスという生徒がいた。
 彼は二年ほど留年しているのだが、別段成績が悪いわけでも何でもない。単にハイスクールにいたいからという理由だけでわざと留年しているという訳のわからん事をしている生徒である。
 ザックスがそんな事をしている理由は、ひとえにクラウドという生徒にあった。
 クラウドはザックスが三年の時に新入生で入ってきた生徒であり、二年留年した今は同じ三年である。そんなわけだから一応は同級生、三度目の三年生でやっとこさ同級生になれたという次第。
 とんとん拍子で卒業しそうだったザックスにとって、突然現れたクラウドは卒業を遥か超えた存在だった。どうにかしてクラウドともうちょっとでも一緒にいられないもんだろうか?そう考えた結果、ザックスはわざとハイスクールに残ることにしたのである。
 何やってんだよ、と本当の同級生には散々言われたもんだが、ザックスはそれで幸せなのだった。
 
 
 
 ラブラブハイスクールライフ、実に良い響きである。
 たまに教科書なんか忘れた日には「こいつ〜」とか言って頭を小突き、「えへへ」とか笑いつつも教科書を貸す。そんでもって放課後の教室なんかでしっとり良い雰囲気になっちゃったりしてドキドキのキスをする。昼食時には二人きりで非常階段にこもりお弁当箱を広げる。嗚呼!これぞラブラブハイスクールライフ!
 …と思っていたのに現実は何だか全然違っていた。
「よっす、クラウド!教科書忘れちゃってさ、ちょっと貸してくれよ!」
「は?やだよ、俺使うし。誰かに借りれば?」
 更に。
「放課後の教室ってさ、何だかドキドキするよな…」
「あ、悪いけど俺もう帰るから。じゃあね、ザックス」
 更に。
「なあ、たまには二人っきりで弁当とかどうよ!」
「おばちゃーん!俺、ざるソバ大盛りね!ワサビ増量!」
 ―――――――…悲しい。
 クラウドは意外にもあっさりしていて、てんでザックスの予想通りにいかないという寂しい現実。こんなんじゃ甘いラバーズタイムは一生やってこないんじゃないかと思ってしまう。頑張ってザックスが不意打ちのキスをすると、クラウドからは15連発の鉄拳が飛んでくる有様…まあこれも愛の鞭だと思って歯を食いしばっているザックスだったが、どうにもこうにももうちょっと甘い雰囲気が欲しいところだった。
 そんな訳で、あくる日ザックスは、放課後の教室でとうとうクラウドに切り出す。

 

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