∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒そして眠りの海へ
コスタ・デル・ソルでトロピカルタイム。
誰しも一度は望むリッチな生活がそれである。
最近そのリッチ極まりない生活を謳歌していたレノは、咽喉から手が出るほど、むしろ咽喉から手が出ても手に入らないようなそんな生活をしているというのに愚痴ばかり漏らしていた。まあそれが何故かといえば、理由は至ってシンプルで、レノの恋人はなかなかガードが固いセコム並の人間だったからである。
そのセコムは、ルーファウスという人間だった。
コスタ・デル・ソルの土地を全て買い占めたという超リッチなルーファウスは、恋人だからとか何とか言ってレノに家を買い与えたものだが、肝心の恋人タイムをくれやしない。それどころかレノに対して、魚を摂って来いとかクラゲを取ってこいとか言う始末なのだ。そのくせ夕飯にそいつらが出てきた試しは無い。
「あーあ…俺、何やってるんだろうな、っと…」
コスタ・デル・ソルの綺麗な夕日を見ながら釣れもしない魚が引っかかるのを待っていたレノは、そうして溜息をついては愚痴をこぼす。
魚を釣るのは良いとしよう。クラゲだって良い。この際、海坊主でもうみにんでも何でも釣ってやろうという域だ。
がしかし、問題なのはあのルーファウスである。
本当に釣りたいのはソコなのに、ルーファウスときたらちっとも恋人タイムをくれやしない。家が別だからといってベットにさえ一緒に入った事がないほどだ。一体何をもってして恋人と言うのか…最近レノの中には恋愛哲学が渦巻くほどである。
これは俗に言う――――――――パシリ?(死語)
…そんな事まで浮かんでくるレノは、今日もまた重い重い溜息を吐いていたものだが、その日たまたま引っかかったあるものに、ちょっとだけ心がウキウキした。
それは、双眼鏡だった。
海で引っかかった双眼鏡を手入れしたレノは、ルーファウスがあまりにもつれないものだから、その双眼鏡でルーファウス宅の様子を覗くことにした。ハッキリ言って最早犯罪…ストーカーである。
「さてさて…と。ルー様は今頃何をしてるかなっと」
自宅から離れているルーファウス宅を覗いたレノは、そこにしっかり映し出されたルーファウスの姿に思わずウキウキした。
双眼鏡の向こうには、優雅に紅茶なんかを飲んでいるルーファウスの姿がある。どうやら読書中らしい。
「うーん…その時間を少しでも俺に割こうって気はないのか…」
どう考えたって本の中身より自分の方が上なのに、そう思いつつレノは愚痴をこぼす。
双眼鏡の向こうのルーファウスは紅茶を啜り読書をし、更には何かを食している様子で、レノのことなどさっぱり考えていないふうである。おいおい、少しは考えろよ。そうレノがツッコむのも無理は無い。
が、しかし。
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