∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒あなただけ感じてる
そのまた次の月のこと、ルーファウスは久々に自分のエステをするために店に出向いた。実はこのところ女性向け店舗の出店やなんかでいろいろ忙しかったルーファウスは、エステに来る時間がなかったのである。だからそれは久しぶりのことだった。
やれやれ、そう思いながらキングを呼びつける。
が、どうもしっくりこない。
「ん…何だか違うな。何かが足りないような…」
「またですか?ルーファウス様は数ヶ月前にもそう仰って、新人のセフィロスに肩入れしたんじゃないですか」
「ああ、そうか。そういえばそうだったな」
そう言われて、ルーファウスはようやくそのことを思い出した。
初めてセフィロスの施術を受けたとき…というかそのときのセフィロスは基礎なんてこれっぽっちも分かっていないただの素人だったわけだが、それでもルーファウスはそのセフィロスに惚れ込んだのである。
技術なんかなくったって、最高だと思った。
つまりそれは、最早エステとかそういう問題じゃなくて、その人の手だから気持ちが良いということなのである。
「やっぱりセフィロスじゃなきゃ駄目だ…」
商売っ気にばかり精を出していたから、そんなこと忘れていた。最初に思ったことをすっかり忘れていた。こんなに気持ちが良いならば売れるぞ、なんて思ったのは確かに正解だったけれど、それは自分こそ当てはまるものなのだということを忘れていた。
「よし、セフィロスを呼び出すか!」
ルーファウスは、一番最初に感じたあの気持ちよさをもう一度味わいたいと思い、セフィロスを呼び出すことにした。
―――――が。
セフィロスはなかなか捉まらず、捉まったとしても仕事が殺人的スケジュールで入っており、とてもルーファウスがエステを頼める状態ではなかったのである。これではエステができない。あの時の気持ちよさも味わえない。
ルーファウスは、セフィロスが時間を割けないことにハッキリ言ってイライラしていた。しかし元はと言えばルーファウスがあれよと用意した出世街道だし、今更それをやめろといってもできるはずがない。もう既にセフィロスはブレイクしてしまったし、ファンは続々増えているのである。
「も〜セフィロス様ってば最高〜!明日も来ちゃうんだ〜」
「私も〜!ってかいっそ繋がっちゃいたいよね〜」
「やだあ〜エッチイ〜」
―――――…生娘共がああああああ!!!!
ルーファウスは客のチェックをしながらも心の中で思いっきし毒づいた。彼女らは毎日予約しているから毎日来るわけだが、その毎日来るからこそルーファウスのエステタイムが取れないわけである。要するに彼女らがその予約をやめさえすればルーファウスのエステタイムが確保できるというわけだ。
「何という憎憎しい女達だ!エロいこと考えやがって!けしからん!」
もちろん自分のことは棚に上げておく。
「これでは私のエステタイムが取れないじゃないか!くそう…」
自分たちばっかり良い思いしやがって!、ルーファウスの心境はそれだった。
最早経営者という立場すら忘れて憤慨していたルーファウスは、どうしてもどうしても自分のエステタイムが欲しかったものだから、とうとう強硬手段に出たものである。
それというのも―――――――。
「臨時休業」。
コレである。
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