∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒もうちょっと落ち着いて
超有名進学校に通っていたルーファウスは、進路希望調査の際、第一希望:社長、第二希望:社長、3・4が無くて5に社長と書いたツワモノである。まあそれも当然、彼は今をトキメク社長令息だった。
そんなルーファウスには、超有名企業から特別に派遣されてきたエリート社員ツォンが家庭教師として付いていたのだが、この家庭教師、持病の胃痛が災いしてどうも仕事に身が入らないという可哀想な人である。
そんな訳で、彼らの授業風景は実に物悲しいものがあった。
「ええと、企業といいますのは…」
「あーもう詰まんない。そんな話どうでも良いんだ、この胃痛男」
「……」
しつこいようだが、御曹司はツワモノである。
自分の企業内では専ら優しいと噂されているツォンは、女性社員にかなりのモテモテ度で男性社員にも慕われるという非の打ち所のない人間だったが、こういう坊ちゃんには今迄遭遇した事がなかったので実に困り果てていた。胃なんて荒れ放題だ。
「あの…ルーファウス様。こう言っては難ですが、本当にやる気はおありなんですよね?」
「そりゃ当然だ。何せ私は将来社長になるんだからな」
「はあ…まあ、そうでしょうけど…」
「難だったらお前のことを雇ってやっても良いぞ」
結構です、とは口が裂けても言えない。
だから無難に笑って済ませたツォンは、もうとにかく早くこの時間が終わらんものかなあなんて事を考えていた。この家庭教師というボランティアに近い仕事が終わった後、一杯飲み屋でクイッとやる時間だけが心の癒しである。そこのメニューの大根がまた美味いの何のって…ってな事を考えてしまう頭をどうにかしたい。
嗚呼、胃が痛い。
しかしそういうキリキリしている時に限ってルーファウスは更にツォンをキリキリさせるのだった。
「なあ、それよりももっと楽しい事をしないか?お前、この仕事が終わったらどうするんだ?」
「は?…ええと、まあ…今日はこのまま帰りますけど」
授業と全く関係ない事を聞いてくるルーファウスに、普通に答えるツォン。しかしそれがマズかった。非常にマズかった。
「よし!じゃあ授業終了だ。さ、行こう」
「は!?行くって、一体どこに行くんです!?」
「そりゃお前のアフター5に付き合うに決まってるだろ。お前、家庭教師なんだからそういう事もちゃんと教えろ」
っていうかそれは授業外なんですけど!――――ツォンはそう言いたかった。
そもそも学生にアフター5が適用されるのかどうかと疑問に陥ったツォンだったが、何せ御曹司ときたらツワモノである。胃をキリキリさせる。だもんだから、拒否などできないままにツォンはそのアフター5を教える(?)ことになった。…っていうか引き摺られていった。
→next
⇒LOVEx2 TIMEトップ
⇒メニューに戻る
⇒INDEXに戻る
|