∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒気持ちが溢れそうなの


「だ、誰…」
 コンコン、またしてもドアをノックする音がする。
 コンコン、更にドアをノックする音がする。
「や、やめろよ!いい加減にしろ!」
 ――――――と、その瞬間!
 ピロロロロと携帯が鳴った…!
「ぎゃあああああ!!!」
 クラウドは何も無いところでズデンとひっくり返ると、あわわわと慌てて部屋の隅にぺったりと張り付いた。携帯のメールを見るのは恐ろしくて出来そうもない。
 もう駄目だ、もう限界だ!
「ザックス〜!!!早く帰ってきてくれよおおおお!!!!!!」
「はいはい、分かってるって」
「…へ!?」
 突然近くで響いた聞き覚えのある声に、クラウドは驚いて目を見開く。
 するとそこには、いつの間にかザックスの姿があった。一体何時の間に帰ってきたのだろうか、毛布に包まっていたし携帯が鳴って怯えていたからさっぱり分からない。
 しかしそこには正真正銘のザックスがいて、そのザックスはいかにも可笑しいといった感じで笑っていた。
「あ〜あ、こんなに怯えちゃって。お前さ、本物が迎えにきたらカッコウの餌になるぜ」
「だ、だって…!」
「俺がいない間、怖かったか?」
「そりゃそうだよ!!」
 そう思いっきり肯定したクラウドに、ザックスは「ごめんな」と謝って手を差し伸べた。それをギュッと握り返すと、それは確かにザックスの手だった。
「ま、後はずっと一緒にいてやるからさ。どうせお前のことだから寝る時も一緒だとか言うんだろ?」
「当たり前じゃん!!」
「よし、じゃあ今日はずっと一緒だな」
 ザックスはにっこり笑うと、クラウドの要望とおり、トイレもシャワーも寝る時もぴったりと一緒にいてくれたのだった。
 
 
 
 その翌日のこと、結局昨夜は何もなかったことでクラウドはホッとしていた。
 しかし安心するのはまだ早い。だって今日も明日も明後日も、いつ迎えにくるかは分からないのだ。
 そう思ってクラウドが用心に用心を重ねていると、そこにいつものようにザックスがやってきた。そうして、よ、元気か、などと言う。だからクラウドは、そんなに元気じゃないけど生きてるだけ良かった、とワケの分からないことを答えた。
「そういえば俺さ、新しく携帯買ったんだ。だから糸電話とはもうサヨナラな」
「へえ!新しく携帯買ったんだ!」
 どうやら未納分は解消したらしい。そういえば昨日は家賃を払って云々といっていたから、もしかしたら支払いは全部済ませたのかもしれない。
 ザックスは新しい携帯をクラウドに翳すと、
「同じ会社の携帯だろ?赤外線でデータ送るわ」
 そんな事を言った。赤外線通信とかいうやつで、データを送信したり受信したり出来るやつのことである。これをすれば相手の電話番号とメールアドレスが登録された通りに送受信できるという優れものだ。
 クラウドがそれを了承して携帯を翳すと、二人の携帯はそれぞれ「こんにちは」「どうも」なんて言いながら通信を始める。でもって、それが終了すると「これからもよろしく」といって「通信終了」の画面をそれぞれの主に示す。これで終了、バッチリである。
 
 

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