∈ @HOUSE! ∋
⇒@第三話


「まあ何かあったときにはよ、俺にも相談しろ」
「ありがとう、心強いよ!」
 
 シドの男気にジーンとしながらそう言ったクラウドは、何となく心の荷が少しだけ下りたような気がした。ザックスとの共有の秘密だったことが、これでシドを含めた3人の秘密ということになる。
 
「で。ウチの奴らにはどう言っとくつもりだ?」
 
 シドにそう問われ、クラウドは少し考えるような表情になった。シドの言う「ウチの奴ら」というのは他でもなく、このオンボロアパートに住む他の住人たちのことである。シド曰く「ワケ有り」な人々…ヴィンセントとレノとルードのことだ。
 
 シドはドンだから正直に全てを打ち明けたけれど、他の皆にはどこまで言えば言いだろう?
 何となくそれを考える。
 ――――――――と、その時。
 
「なんだこいつ!!」
 
 ふと、外からそんな声が響いてきた。
 その声に反応してクラウドとシドがバッとドアの方を振り向くと、数秒後にそのドアはガツンと派手に開き去る。
 
 何だ何だ!?
 
 そう思う暇もなく叫び声を上げてきたのは、正に渦中の―――――レノだった。
 レノは、一応人様の家であるシドの部屋のドアを遠慮もなしにガバッと開けると、ドドドドッと入り込み、更にはシドにこう訴える。それは動作的にいえば非常に慌しかったが、彼の性格上あまり表情には出ていなかった。
 
「おいおい、なんか知らない奴が勝手に俺の家に上がりこんでるぞっと!」
 
 レノはその特徴的な言葉遣いでそうシドに訴える。
 それに対しシドは…。
 
「おいおい、お前も勝手に俺様の部屋に上がりこんでるじゃねえかよ」
 
 ――――ご尤も。
 
「いや、これはご愛嬌だって。それより俺の家に上がりこんでる奴は見ず知らずの奴なんだけど。背がバカ高くて髪がこうガーッと長くて…」
「ええええ!」
 
 レノの説明に驚きの声を上げたのは、シドではなクラウドの方だった。
 嗚呼、そのどっかで聞いたような形容…それはまさかあの男ではあるまいか!?
 その危惧は100%大当たりしたらしく、クラウドの「こうこうこうで、こういう人じゃない?」という言葉にレノは「そうそうそれ!」と言葉上だけで大興奮して答えたものである。
 そう、その見ず知らずの人とは――――――――セフィロス!
 
「ご、ごめんレノ…その人、実は…」
 
 クラウドはバツの悪い表情を浮かべておずおずとそう口を開ける。
 そうして結局、レノにまで大方の事情を話すことになったのだった。
 話そうかどうしようかと考えている時分だったものだから、それは正にタイムリーな出来事である。何だかんだ言って、このオンボロアパートでは些細な秘密ごとでさえ無理なんだなと痛感したクラウドだった。
 
 
 
 クラウド宅にセフィロスという大男が同居している。
 その事実は、結局そのオンボロアパートの全ての住人に知れ渡った。というかもう、クラウドが自ら説明したもんだから嘘は何一つ無いという状況である。
 
 これで秘密の共有者が増えたわけだから、何となく心は軽くなったとクラウドは思う。仮に今後何かが起こったとしても、その時は事情を分かった上で理解してくれるだろう。勿論、そんなことは起こらないに越したことはないけれど。
 
 それにしても、事情を話したことは好都合だった。
 そんなワケ有りの事情なら協力するし、とレノは言ってくれたし、無口で有名なルードはそれでも分かったと頷いてくれたものである。ザックスの隣に住んでいる謎のヴィンセントは、お前も大変だなと意味不明な同情をしてくれた。でもまあ、何かあったときには尽力するとも言ってくれたし、クラウドとしては満足といえるだろう。
 
 クラウドだけでは賄えない部分は協力をあおぐことが出来たし、これはある意味ではとても高待遇といえるのかもしれない。
 そんな状況になって、ザックスはクラウドにこんなことを言った。
 
「皆、お前の友達だからな!勿論、セフィロスともな!」
 
 それを聞いて、クラウドはやっぱり思ったのだった。
 友達って不思議だな、と。
 そして、こういうのって何だかちょっと、良いな、と。
 

つづく


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