∈ @HOUSE! ∋
⇒@第一話
「……は?」
クラウドは、思わず呆然とした。
手で触れたその物体は何だかムニャリとしていて変に生々しい。それに、何だか妙にこう…手馴れた感覚なのだ。
「え?え?え…?」
何なんだこれは?
そう思ってクラウドがその物体をガツッと掴みこむと、その拍子に何かがボンッと飛び出し、更にはソイツがガツンとクラウドの額にストライクした。
「痛っ!」
思わず手を離して額をさすったクラウドは、飛び出してきた物体を恨めしそうに見やる。がしかし、それがちょっとばかり気になるものだったから、一瞬にして恨めしい気持ちはどこかへと消えてしまった。
そこにあったのは――――――リモコンである。
リモコンといえばリモートコントロールのことである。ボタンをプチッとか押すと漏れなくウイイインとかいって機械が動き出す、例のアレである。
まあそんなことはどうでも良いのだが、ともかくクラウドを襲撃したのはそのリモコンとかいう物体であって、そこにリモコンがあるということはつまり、あの変な感触のする物体はリモコンでコントロールが出来るということなのだ。
「へえ、リモコンで操作か…」
丁度テレビやビデオのリモコンと同じくらいのサイズをしていたそれは、色々なボタンを表面にくっつけている。
取り敢えず分かるのは「POWER」という電源ONのボタンである。
それから「RESET」というのもまあ何となく分かるところだ。
しかし「SAVE」というボタンが一体何を示しているのかクラウドには良く分からない。これが録画とか録音とかの機能ならばまだ分かるが、SAVEというのはちょっと違う気がする。
それから他にも「STOP」というボタンがついていた。
これは多分、そのまま停止のことなのだろう。
「ふうん…だけどこのグルグルしてるのは何なんだろう?」
色々くっついているボタンの下には、ダイヤルのような丸いグルグルがついている。それは、所々に赤いマークがついており、どうやらそのマークのところでカチッと止まるようになっているらしい。これがビデオか何かのリモコンだったら、さしずめ画質だとかそんなものだろう。それか、標準モードと3倍モードの切り替えみたいなものか。
しかしその赤いマークには何も文字がかかれていないから、クラウドにはさっぱり意味が分からない。思わず首を傾げたクラウドだったが、まあそんなものは順次分かってくるだろうと細かいことは考えないでおく。
「えっと…」
先ほど手に当たったあの感触を思い出したクラウドは、その物体がどんなものなのかと色々想像を膨らませながらもリモコンを見やる。
今ここで「POWER」を押したら、不良品で無い限りはソイツが動き出すはずなのだ。
しかしこれはあくまで預かり物である。
が、いくら預かり物だからって、やっぱりあのムニュッとした感覚は気になるというものだ。
「…ちょっとくらい良いよな?」
本当は駄目なんだろうけど、そう心の中で付け加えながらも、クラウドはこっそりと箱の中をチェックする。
そうして、最終的には「壊さなきゃ良いんだし」と最高級のフォローを自分に入れると、興味津々といった具合に箱の中を覗き込んだ。
ダンボールの中にあった商品―――――――それは。
「な、ななな…なにコレ!?」
思わずそう口にしたクラウドは、もう目の前のドデカイ商品から目が離せない状態である。何故なら、目の前の商品はあまりにもドデカイ。
それだけならまだしも、目の前の商品はいかにも”人間のよう”なのだ。しかもその”人間のような商品”は妙に美男子だった。
色素の薄い長い銀髪をしており、妙に逞しいからだのくせに顔だけはやたらめったらと綺麗である。
しかしそれにも増して気になったのは、その”人間のような商品”が…、
「服くらい着せとけよ〜!!!!」
――――――――全裸なことだった…。
こうしてクラウドは、まるで人間のような珍妙な商品を預かることとなったのだった。
つづく
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