BL-575


先輩も
客も会社も
恐ろしい


「お前、営業初めてなんだって?」

「あ、はい。そうなんです」

「まあ俺が一から教えてやるから、しっかり叩き込めよ」

「はい!よろしくお願いします」

「よし。じゃあまず鉄則を教えてやる」

「鉄則、ですか?」

「そうだ。まず、先輩の言うことは絶対だ」

「はい、先輩のいうことは絶対ですね」

「それからお客様のいうことも絶対だ」

「はい、お客様のいうことも絶対ですね」

「お前も知ってるだろ、ウチの方向性は」

「はい!顧客満足第一、ですよね!」

「正解。つまり相手が満足しなきゃダメだ」

「そうですよね」

「俺がお前に教えるのは、どうしたら相手が満足するか、ってこと」

「はい」

「それを、今からお前に叩き込む。分かったか?」

「はい、お願いします!」

「よし。じゃあ脱げ」

「…へ?」

「だから。早く脱げっての」

「え…あ、あの。何で脱がなきゃいけないんですか…?」

「お前、俺の話聞いてただろ?”先輩の言うことは絶対”!」

「そ、それはそうですけどっ!で、でも、こんなのおかしくないですか?」

「おかしくねえよ。じゃあお前みたいな素人がどうやって客喜ばすんだ?」

「え…どうって、それはその…ふつうにお話を…」

「俺はその客と付き合い長いんだ。だからどういうのが好きか良く分かってる」

「は、はあ…」

「それをお前に伝授してやるって言ってるんだ。お前、すごい得してんだぞ?」

「あ…あの。そのお客様とは、その…脱いだりする…間柄なんですか…」

「おい、お前。ウチの方向性が何だか、もういっぺん言ってみ」

「顧客満足第一…です」

「はい、正解。客がそれ望んでんだ。何が起ころうと満足させなくちゃいけない」

「そっそんなことってあるんですか!?」

「あるんだよ。だから教えるって言ってんだ」

「でも!それってセクハラですよね!?」

「そう思うなら訴えてみるか、新人クン」

「で、でもそんなのおかしいですよ…!」

「言っとくけど、セクハラ訴えてももみ消されるぜ」

「そ…それってもしや…」

「はい、正解!パワハラです」

「二重苦じゃないですかーーっ!!」



 


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