∈「S−CLUB」∋
⇒何しろ頑張ってるから
何せ自分しかないと信じて疑わない人々なのだから、平和的解決なんてありえないのだ。しかしこういう場合、やはり優先されるべき意見はクラウドのものであろう。何せ今回はクラウドのお祝いなのだから。
というわけで、彼らはクラウドに聞きに行った。何をって、誰とお祝いをしたいか、と言うことをである。
しかし、そんなことを言われても選べるわけがない。クラウドは皆のことが好きだったし、加えて言うならこの三人、二人きりになった瞬間にそれぞれかなり危険な展開を繰り広げるに決まっている人々なのだ。
だからクラウドは、相当焦ったその後に、こう決断を下した。
それは―――――――…。
「俺、頑張ってるから」
その一言。
それが何を示すかといえば……そう、一つである。
クラウドは、熱烈な三人の誘いを全部、断ったのだ。
理由は「頑張ってるから」。
それが意味するところは、頑張ってるから、まだその途中だから、お祝いはまだしてもらえるような状態じゃない、ということである。このいとも謙虚な心持ちは三人を感動させた。しかし感動させるのが成功したのはそれがクラウドだからに他ならない。これがもしクラウド以外の人間だったらば即、「体よく断ったな、この野郎!」となるはずである。
しかし、クラウドは見事それを成功させ、更には…三人に火をつけた。
こんな謙虚なクラウドは、他には渡せない―――――――!!!
それからというもの、三人はとにかく頑張った。
クラウドが頑張っているんだから自分も、という発想である。
これにはルーファウスお大喜びだった。あんまりに凄い影響力だったものだから思わずクラウドに聞いてしまったくらいである。どうやって三人の尻を叩いたのか、と。
しかしクラウドは、笑ってこう言うだけだった。
「俺、頑張ってるんです。オーナー」
何しろ、頑張ってる。
だから皆も頑張る。
たったそれだけの単純なことが、全てを円滑にしていく。
嗚呼、素晴らしきかな人生。
穴場ホストクラブは今日も、とにかく頑張っている。
それぞれの思いを抱きながら、何しろ頑張っている。
いつか、本当にお祝いをする日がきたら、その時はクラウドもさすがに頭を悩ませなければならないだろうけれど――――――…
それは、未来のお話。
END
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