∈「S−CLUB」∋
⇒何もできないからせめてこれだけ
だもんだから、店の中から何だ何だという具合にオーナーが顔を出した。しかしオーナー、目にしてしまった衝撃スクープに呆気を取られ、声も出ないという具合。
エアリスはにっこりと笑うと、こんな事を言い出す。
「これからはクラウドも指名しちゃうね」
「あわわわわっ、そそそそそれはっ」
ザックスのコケンに関わるのでは!?っていうか売り上げ!!そう思ったクラウドは一気に蒼褪めた。けれど、男としては嫌な気持ちではない。何しろあのエアリスに気に入ってもらえたんだから。
「でも私、これからちょっと忙しくなるの。だから暫く来れないかもなんだ。ごめんね」
「い、いやっ。そんなっ」
エアリスは、うーん、と考えた後、ちょっとして、
「その間、私何もできないから…せめて、これ!」
そんなふうに言って、上着のポケットの中からある物体を取り出した。それは一枚の紙切れで、手の平サイズである。
エアリスはそれをクラウドの手に握らせると、
「じゃあね。今日はありがとう、クラウド」
そう言ってにっこりと笑って帰っていった。
クラウドは、何だか嬉しいような切ないような気分になりながらエアリスの後ろ姿を見送っていたものだが、そうそう長いことそうしているわけにはいかなかった。
何故って、背後にはオーナーがいたからである。
オーナーはにまっと笑っていた。
「ザックスの客を食うとは、お前もなかなかやるな」
「お、オーナー!」
「しかもあのエアリスとは…次回のナンバー更新が楽しみだな」
オーナーはそんなふうにほのめかしながらも、まあヴィンセントとセフィロスを抜くにはまだ足らないけどな、なんて言う。
しかしクラウドにとってこれは大事件だったのは言うまでもない。
「おい、クラウド。ところでお前、さっき何を貰ったんだ?」
「え。あ、そういえば」
握り締めているというのにすっかり忘れていたクラウドは、やっと手を開いてそれをまじまじ見ることになった。勿論、オーナーも興味津々それを覗き込む。
…と。
「"Honey Castle 20% OFF"…???」
「………」
「オーナー、Honey Castleって何ですか??」
「……エアリスの働いてる店だ」
「―――――――――は!?」
そう…そこにあったのは、見たまんまHoney Castleのご利用20% OFFチケットだった。
―――――っていうか。
何故にコレ!?
来いってか!?
クラウドとオーナーはついつい、アハハと虚ろ笑いを浮かべるのだった。
恐るべし、ナンバーワンホステス!
END
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