∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒そして眠りの海へ


「…アレで、お前を見てたんだ」
「は……俺?」
 その一言にビックリしたレノは、どうリアクションして良いかわからないままに目を丸くする。だって、今迄あんなにもつれなかったルーファウスがよりにもよって双眼鏡で自分を見ていただなんて。
 まあ普通に考えればかなりアブない行為なのだが、レノとしてはその事実の方がもっともっと驚きだった。それに、自分だって同じことをしたから今此処にいるのだ。
「別に監視してたわけじゃないぞ。ただ、今頃レノは何してるのかなあと思って双眼鏡で覗いたら、それがクセになって…。でも、海に落としたんだ」
 だから探さなきゃ、そう言うルーファウスは、正に目の前にレノがいるというのに「アレが無いと駄目だ」とか何とか言っている。そんなルーファウスにつられてレノも、じゃあ早いところ返さないと、などと思ったが、ハタとあることに気付いた。
 そうだ、返さなくっても良いじゃないか。
 あんな双眼鏡は、むしろ海に捨ててしまえば良い。
 だって、双眼鏡なんかを通さなくても今一緒にいるんだから。
「なあ、そんなの無くても良いんじゃないか?」
 そう気付いたレノは、自信を込めてルーファウスにそう言った。ルーファウスは「何で?」という顔をしていたが、やがてレノから放たれた言葉にやっと納得をしたらしく、ちょっとだけ笑う。
 そもそも、恋人なのに双眼鏡なんかで相手を見ているのがおかしかったのだ。
「直接呼んでくれれば良いのに。そしたらいつでも飛んでいくぞ、っと」
「そうできないから双眼鏡なんだろう?」
 恋人なのにそんな事を言うルーファウスは、だって、などと言いながらレノを見やる。豪遊三昧だと思っていたルーファウスはどうやら本当は違っていたらしく、単にレノを見ていただけだったらしい。
 いつも一緒にいたらレノが嫌がるだろうから、遊んでる振りをしてレノを見てた。
 …なんとも歯痒い言葉である。
 だからレノはピシャリと言ってやった。そんな事ないと、もう双眼鏡なんて要らない、と。
「双眼鏡なんて生まれつき付いてるじゃん。目が二つあるんだから、ソイツで直接俺を見てくれれば良いんだぞっと」
 目は双眼鏡みたく遠くは見えないけれど、それでも遠くを見る方法が一つだけある。
 それは、対象の近くに行く事。そうすればもう遠くないからちゃんと見える。
「その為にはホラ、いつも近くにいないと駄目だし」
「でも…いつも一緒になんか居たら、お前は嫌だろう?」
 悩むふうにそう言ったルーファウスに、レノは笑って一言お見舞いした。
「全然!世界で一番の大物が釣れるんだぞっと」
 
 
 
 セコムは解除されたらしく、もう双眼鏡も必要ない。
 だからレノは、後日こっそり双眼鏡を海に投げ込んだのだった。
 もう二度と双眼鏡が見付かりませんように。
 
 
 
 END
 


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