∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒したいから、させて


「なあソレ、無料お試しだろ。クラウド、試すつもりか?」
「うん、まあ…」
 何でレノがそんな事を知っているのか、クラウドは疑問にも思わなかったらしい。
 それよりもレノが早く帰らないかな、とか、ダンボールの中身はどんなかな、という方が気がかりである。
 がしかし。
「ん?」
 ダンボールを開けた瞬間、クラウドは首を傾げた。
 だって、ダンボールは結構大きいのにその中身ときたらあんまりにも小さかったから。
「何だこりゃ?」
 クラウドはダンボールの中にちょこんと置かれていた物体を手に取ると、それをしげしげと見つめた。一体これは何だろうか。どこかで見た事があるような気もするが…。
 そう首を傾げているクラウドの肩を、にんまりとしたレノがポン、と叩いた。それから確認するようにもう一度こう言う。
「なあ、それ本当に使うんだよな?」
「え。ま、まあ…」
「了解!じゃ、早速始めるぞっと」
「――――は?」
 何だそりゃ??
 そう思ったのも束の間、レノはガバッとクラウドに掴みかかった。そしてあっという間に床に押し倒す。それはあんまりにも一瞬のことだったから、クラウドには一体何が起こったのかワケが分からなかった。
 分かったのは、レノの手に例の物体があったということだけである。そう…無料お試しの例の物体が。
「なあクラウド。コレも一つの健康法だよな?」
 にんまりしたレノは、無料お試し物体をヒラヒラとさせた。
 それをまじまじ見つめていたクラウドは、13秒後くらいにやっとその物体が何なのかを理解したものである。どこかで見たことがあると思ったら…そうだ、それは乙女には口に出せないHの必需品ではないか!
「な…っ!何でレノがそんなこと言うんだよ!?」
 パニックしたクラウドは、それがビヨーンと伸びるゴム製の物体であることに恐れおののき、更に自分の上にレノが乗っかっていることにもビビり、ともかくワケも分からずにそう叫んだ。
 そんなクラウドに返された言葉は、あんまりにも愕然とする内容。
「ご利用ありがとーございます。カーム通販サービスです、っと」
 クラウドの目に映っていたのは赤髪の業者ではなく、にんまり笑ったカーム通販サービスの主であった…。
 
 
 
 無料お試ししたというよりも、無料お試しされたという感が強かったクラウドは、もう二度とあんな通販は利用するか!と憤慨したものである。
 がしかし、あの業者…じゃなくってあの通販サービスの主はしょっちゅうクラウドの元にやってきては、
「無料お試し健康法パート2があるけど」
 などと言うのだった。
 当然クラウドは断固拒否したものだが、あんまりしつこいのでたまに根気負けするときがある。…これは実に悲しい事実。
 そんなことを繰り返しているうちに、無料お試しは無料お試しではなくなっていった。レノが来れば普通に茶を出して話をしたりする、それでもってレノの言う「したいからさせて」という言葉に憤慨しつつも付き合ったりする。
 
 健康どころか不健康になった気がする…そう思うクラウドであった。
 
 
 
 END
 


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