∈「LOVEx2 TIME」∋
⇒溶けそう…
「!?」
ゴソッ
そんな音が聞こえて、ツォンの体感温度は30%増しになった。殺人的な暑さ只今増量中!といわんばかりの暑さである。
何だこの暑さは!!
そう思ってツォンが沸騰した脳で脇を見やると、そこには恐るべきことにルーファウスが居た。しかもどうだ、ルーファウスときたら毛布の中に入り込んでいるではないか!
―――――――――暑いだろうがああああ!!!
瞬間ツォンはそうキレそうになったが、うっかり口に出してしまう前に重要なことに気づいた。いかん!そうじゃない!暑いと文句を言う前に言うべきことがあるのではないか!
「る、ルーファウス様…風邪が、うつりますよ…」
イッツオーライト!
「ああ、それ知ってるぞ。どっかで聞いたことがある」
「じゃ、じゃあ…離れていて下さい…」
「でも、風邪って誰かにうつしたら治るんだろう?そう聞いた事があるんだ」
「え…」
イッツオーライト!?
「うつして良いぞ、そうしたら治るだろう?」
「る…ルーファウス様…」
死ぬほど暑い。脳が沸騰する。
そんな状態だったけれど、ツォンはそのルーファウスの言葉に感激し、殺人的な暑さの中でルーファウスを抱きしめた。汗のかいた肌をぺっとり合わせたらルーファウスは嫌がるだろうなと思いつつギュッとする。額には玉の汗が張り付いていたけれど、それも構わず頬を寄せる。ルーファウスの頬はひんやりしているように感じた。
暑い、暑い、暑い…
溶けそうに暑いけど、でも…
――――――――今だけは、ちょっぴり溶けても良いかもしれないと思う。
晴れてツォンが夏風邪…ルーファウス曰く変温動物且つ大馬鹿から脱したのは、それから二日後の事だった。
元気に仕事復帰したツォンは、さて例の取引の成功を目指そうかと意気込んだものだが、何と言う事かその意気込みはサクッと無かったことになってしまったものである。といっても別に、やる気をなくしたというわけではない。
実は、その取引は既に大成功に終わっていたのである。
その変貌に驚いたツォンは思わず取引先に問い合わせまでしたものだ。そうして分かったことだが、どうやらルーファウスがその案件を取り纏めておいてくれたらしい。仕事はもうしないとまで言ったくせに、すっかり人生初の風邪までひいたくせに。
ツォンは少し嬉しくなった。
そうして、ルーファウスがとても好きだと思った。
相変わらず夏は得意ではないけれど、ルーファウスと一緒にだったら、溶けそうな暑さの夏ももしかしたら悪くないのかもしれない。
END
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